朝、スマートフォンを開くと次々にニュースが表示されます。
AIの進化、物価の上昇、働き方の変化、災害、事件、著名人の発言――。
ひとつの記事を読み終える前に、別の見出しが目に入ります。
沢山の情報を見たはずなのに、スマートフォンを閉じると、なぜか疲れている。
しかも、「結局、自分は何を知ったのだろう」と思うことがあります。
ライターという仕事柄、毎日多くの情報に触れます。
しかし、65歳になった今、ニュースを数多く知っていることと、人生が豊かになることは、必ずしも同じではないと感じています。
大切なのは、ニュースの量ではありません。
そのニュースを自分の人生にどう引き寄せて考えるか。
そこに、情報に振り回されず、むしろ情報を味方につけるヒントがあるのではないでしょうか。
もくじ
ニュースを見て不安になるのは、あなただけではない
最近は将来への不安を感じさせるニュースが少なくありません。
「AIによって仕事がなくなる」
「年金だけでは暮らせない」
「物価はさらに上がる」
「これまでの常識が通用しなくなる」
こうした見出しを繰り返し見ていると、何か行動しなければと思う一方で、何から始めればよいのか分からなくなります。
特に60代になると、
「今から新しいことを始めても遅いのではないか」
という気持ちも生まれます。
私自身、AIを使い始める前はそう思っていました。
専門用語は難しそうですし、若い人が使うものという印象もありました。
ところが、実際に使ってみると、AIは一部の専門家だけの道具ではありませんでした。
文章の構成を考えたり、電子書籍の企画を整理したり、小説の登場人物を深掘りしたりと、私の仕事や創作を支える相手になりました。
もちろん、AIはまだまだ万能ではありません。
間違った情報を示すこともありますし、最終的に判断するのは人間です。
それでも、使い方を覚えれば、これまで一人では進めにくかった作業に取り組めるようになります。
ニュースの見出しだけで恐れるのと、実際に試して確かめるのとでは、見える景色が全く違うのです。
「何が起きたか」だけでは、人生には残らない
ニュースを読むとき、私たちは「何が起きたのか」を知ろうとします。
もちろん、それも必要です。
しかし、出来事だけを追いかけていると、次のニュースが出た瞬間に、前の情報は頭から消えてしまいます。
そこで私は、ニュースを読んだあとに、次の3つを考えるようにしています。
「これは、自分の暮らしや仕事とどう関係するのか」
「この変化に備えて、今できる小さなことは何か」
「不安をあおる見出しと、確認できる事実を分けられているか」
例えば、「AIで仕事が変わる」というニュースを読んだとします。
そこで「怖い」と感じて終わるのではなく、「自分の仕事のどの部分ならAIを使えるだろう」と考えてみる。
文章の下書き、情報の整理、アイデア出しなど、ひとつだけ試してみる。
それだけで、ニュースは自分を不安にさせるものから、行動を始めるきっかけに変わります。
大きな決断は必要ありません。
ニュースを読んで、ひとつ調べる。ひとつ試す。誰かと話してみる。
その小さな行動が、半年後、1年後の差になることがあります。
情報が多い時代ほど、「全部を知らない勇気」が必要になる
今の時代、全てのニュースを追いかけることは不可能です。
それなのに、知らない情報があると、自分だけが取り残されたように感じることがあります。
しかし、本当に必要なのは全てを知ることではありません。
自分にとって大切な情報を選び、少し深く考えることです。
私は、ニュースを大きく3つに分けています。
ひとつは、生活や仕事に直接関係する情報。
もうひとつは、社会の変化を知るための情報。
そして最後は、見ても不安や怒りが増えるだけで、自分ではどうすることもできない情報です。
3つ目の情報からは、少し距離を置くことも大切です。
見ないことは無関心になることではありません。自分の心と時間を守るための選択です。
空いた時間で、本を読む。家族と話す。散歩をする。新しい道具を試してみる。
その方が人生に残ることもあります。
ニュースは自分の現在地を映す鏡になる
同じニュースを読んでも、受け取り方は人によって違います。
新しい技術のニュースを見て、「自分には関係ない」と思う人もいれば、「少し試してみよう」と考える人もいます。
老後に関するニュースを読んで、不安だけを抱える人もいれば、「今のうちに働き方や暮らし方を見直そう」と考える人もいます。
ニュースは未来を決めるものではありません。
むしろ、ニュースを読んだときに自分が何を感じ、どう考えたかによって、今の自分の状態が見えてきます。
強く不安を感じたなら、そこには自分が準備したい課題があるのかもしれません。
心が動いたなら、そこにはまだ諦めていない希望があるのかもしれません。
ニュースは社会を映すだけでなく、自分の心を映す鏡にもなるのです。
今日のニュースから、ひとつだけ持ち帰る
65年生きてきて思うのは、人生を変えるきっかけは、必ずしも大きな出来事ではないということです。
誰かの何気ない言葉、一冊の本、新聞の小さな記事。
あとから振り返ると、そんな小さな出会いが人生の方向を変えていることがあります。
だから、今日のニュースを全て知る必要はありません。
ひとつだけでよいのです。
「これは自分にも関係がありそうだ」
「明日、少し試してみよう」
「今までとは違う見方ができた」
そんな気づきを、ひとつ持ち帰る。
AIはこれからも進化し、情報はさらに増えていくでしょう。
けれど、どの情報を選び、何を考え、どう行動するかを決めるのは、私たち人間です。
ニュースも、読むだけで人生を変えてくれるわけではありません。
それでも、ひとつの情報を自分の経験と結びつけ、小さな行動に変えることができれば、人生は少しずつ動き始めます。
今日、あなたが目にしたニュースは、単なる出来事ではないかもしれません。
未来のあなたに向けられた、小さな問いかけかもしれないのです。